バレエが変わるのは、力みを抜いてから

バレエが変わるのは、力みを抜いてから 大人バレエ入門

バレエを習い始めて数年。ポジションの形は覚えた。バーレッスンも毎回こなしている。なのになぜか、動きがどんどん力んでいく感じがする——。

そういう経験をされている方は少なくありません。基本を丁寧に積み上げているのに、どこかでつまずく。それがバレエの不思議なところであり、多くの人が悩む場所でもあります。

この記事では、バレエの動作全体を「軸・重心・体の使い方」という視点から整理します。ポジション、バーレッスン、ピルエット、ターンアウトと、それぞれの動きの根っこにある共通の感覚を見ていきます。

バレエの「基本」を積み上げると壁にぶつかる、あの感覚のこと

バレエの「基本」を積み上げると壁にぶつかる、あの感覚のこと

バレエには、1番ポジションから5番ポジション、プリエ、タンジュ、デガジェと、さまざまな「基本」があります。最初のうちはひとつひとつの形を覚えることに精一杯で、それはそれで上達の実感があります。

ところが、形を覚えてしばらくたつと、ある壁が見えてきます。

先生から「もっと力を抜いて」「もっとしなやかに」と言われるようになる時期です。形はできているのに、動きが固い。なんとかしようとすればするほど、体がぎゅっと縮こまっていく感覚。こうした壁に直面する方も少なくないようです。

この壁は、技術の問題というより、体の使い方の問題であることが多いです。「形を正しくしなければ」という意識が強くなるほど、体に余計な力が入りやすくなります。そして力みが増えると、逆に動きの質が下がりやすくなります。

どの動きも、根っこは同じことをやっていた

立ち方、重心の置き方、呼吸、アームスの使い方。これらは一見バラバラな要素に見えますが、根っこは同じです。

それは「体の中心が整っているかどうか」とも言えます。

上半身が力んでいると、腕の動きも固くなります。脚に必要以上の力を入れると、重心がふらふらと安定しにくくなります。呼吸を止めてしまうと、全身がぐっと固まって動けなくなる。こうした連鎖は、どの動きでも起きています。

逆に言えば、体の中心が整って力みが抜けてくると、立ち方も、アームスも、呼吸も、すっとまとまって動きやすくなっていきます。バレエの技術を個別に磨くことはもちろん大切ですが、体の全体の状態が先に整ってくると、それぞれの動きに変化が出てきます。

ポジション(1〜5番)は、形より「整える感覚」が先にある

1番から5番までのポジションは、バレエの基本中の基本です。ただ、形を「正しく作ろう」とするとき、無意識に力が入りやすくなります。

たとえば1番ポジション。足を横に開いて立つ形ですが、「きれいに開かなければ」と力みすぎると、股関節やふくらはぎに余分な緊張が生まれます。そのまま動こうとしても、体が固まってスムーズに動けません。

2番、3番、そして難しい5番になるほど、この傾向は強くなりやすいです。特に5番は、両足をぴったり合わせる形が求められるので、力んで押しつけてしまいやすい。

各ポジションで大切なのは、「この形を作ること」より「この形の中で体を整えること」です。力まずにそのポジションに立てているとき、次の動きへ移りやすくなります。

バーレッスンで本当に身につけているのは、こういうことかもしれない

バーレッスンは技術を練習する場でもありますが、同時に「体の使い方の土台」を積む時間でもあります。

プリエ、タンジュ、デガジェ、フォンデュ。これらの動きは、単に脚や股関節を動かす練習ではなく、体の重心を感じながら、軸がぶれないように動く感覚を育てています。

バーに手をついているのは体を支えるためですが、バーに頼りすぎると、体の中心で支える感覚が育ちにくくなります。バーはあくまで「添える程度」にとどめ、自分の中心で立てているかを意識する時間として使うと、センターレッスンのときに違いが出やすくなります。

また、バーレッスンで力みが入りっぱなしのまま続けると、疲れる割に動きが洗練されにくいということもあります。動く前に「今、体は整っているか」と感じてから始める習慣が、じわじわと積み上がっていきます。

回転(ピルエット・ターン)は、「回そうとする」より先にすることがある

ピルエットやターンは、バレエの中でも特に「うまくできない」と感じやすい動きです。

回れない、ふらつく、目が回る。そういった経験をされている方の多くに共通しているのが、「回そうとする力み」が強すぎるという状態です。

腕で引っ張ろう、体を素早く回そう、軸足にしっかり乗らなければ——こうした意識が重なるほど、体全体に力が入りやすくなります。力んだ状態では、軸がぶれやすくなります。

回転で大切なのは、「回る前の体の状態」です。軸が整っている状態でプレパレーションに入ると、回転が始まったときに体がまとまって動きやすくなります。

ピルエットで視界がぐるぐるとしてしまう方や、軸足に乗る感覚がつかめない方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

ピルエットで目が回る原因と、軸をまっすぐ保つ体の使い方ピルエットが回れない大人へ|軸足に乗る感覚のつくり方

ターンアウト(股関節)は、「開こうとする」より「ゆるめる」が先

ターンアウトは、バレエを習う上で避けて通れないテーマです。足を外側に開く動きですが、無理に開こうとして股関節に力を入れると、逆に動きにくくなることがあります。

これは力みによって股関節まわりの筋肉が固まるためです。足を開こうとすればするほど、付け根の部分が締まっていく。そういう状態になっている方は多くいます。

「開く」より「ゆるめる」という意識に切り替えると、股関節の動きが変わりやすくなった方がいます。力で形を作ろうとするのではなく、付け根の力みを抜いたときに自然に動ける範囲でターンアウトする。その感覚が積み上がると、可動域も使いやすくなっていきます。

ターンアウトの悩みについて詳しくはこちらをご覧ください。

バレエのターンアウトができない|股関節の力みをゆるめる考え方

動く前に整えるって、どういうこと?

体を整えるとは、特別なトレーニングをすることではありません。「力みが入っていない状態で動ける体の準備をすること」に近いです。

ダンスの体幹を「鍛える」ことに力を入れている方も多いですが、鍛えた筋肉が動くときに固まってしまうと、動きの質は上がりにくくなります。体幹は「使う」という感覚のほうが、バレエの動きには合っていると感じている方も多くいます。

ダンスの体幹は「鍛える」より「使う」|上手い人がブレない理由

上半身の力みについては、アームスや表現にも直接つながっています。「肩の力を抜いて」と言われ続けている方にはこちらも読んでみてください。

バレエで「肩の力を抜いて」と言われ続ける人へ

上達しやすい体の状態をひと言で表すなら、「動く前に整っている」です。先に整えてから動く。その順番が変わると、動きの感触がすっと変わってきた方がいます。

よくいただく疑問も、あわせてまとめます。

よくある質問

Q. バレエは大人から始めても上達しますか?

はい、上達する方は多くいます。子どものころから習っている方と比べると、筋肉の柔軟性や体の使い方に違いがあることもありますが、大人から始めても着実に変わっていく方は少なくありません。特に「力みの入り方」を知ることで、動きの感触がすっと変わることもあります。

Q. バレエで一番大切なことは何ですか?

さまざまな考え方がありますが、「体の状態が整っているかどうか」を大切にしている方は多いです。ポジションや技術を磨くことはもちろん大切ですが、力みが入った状態でいくら練習しても変わりにくいことがあります。整えてから動く、という順番を意識してみると、レッスンの質が変わってきた方がいます。

体の使い方を体験してみたい方へ

この記事で紹介した「整えてから動く」という感覚は、実際に体で試してみると理解が深まります。

体の使い方を体験してみたい方へ

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