バーレッスンが終わり、センターへ移るころ。先生が「グリッサードからグランジュテ」と声をかける。
助走をつけて思い切り跳ぶ。でも、なんとなく高さが出ない。着地でどんっと音がして、少し体が前のめりになる。グランジュテは脚が思ったより開かず、先生の手本の半分も広がらない気がする。
「もっと引き上げて」「着地、静かに」。レッスンのたびに言われているのに、どこをどうすればいいのかが、はっきりわからないままになっている、という方は少なくありません。
この記事では、バレエのジャンプで起きやすい三つのつまづき——高く跳べない、着地が崩れる、グランジュテが開かない——を、それぞれ分けて丁寧に整理します。
ジャンプは”プリエ”で決まる

バレエのジャンプは、大きく五つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。
まず①跳ぶ前のプリエ。そこから②飛び上がる。空中で③ポーズを作る。そして④降りてくる。最後に⑤着地のプリエ。
この五段階の中で、ジャンプの質に最も影響するのが、最初と最後のプリエです。
跳ぶ前のプリエがしっかり効いていると、床をしっかり押す力が生まれて体が高く持ち上がります。着地のプリエが柔らかく使えていると、衝撃を膝でやわらかく吸収して、静かに降りることができます。
「なんで高く跳べないんだろう」「なんで着地でぱたんとなるんだろう」と感じているとき、多くの場合はこのプリエの使い方に鍵があります。
高く跳べないと感じているなら
高さが出ないとき、まず確認してほしいのがプリエの深さと膝の柔らかさです。
プリエが浅かったり、膝が硬いまましゃがんでいたりすると、床を押す力が弱くなります。両足の裏全体で床をしっかり踏み、膝をやわらかく曲げてから、その床を押し返す力を使って跳ぶ。この順番が高さを生む土台です。
このときに大切なのが、上半身を真っ直ぐ保ったままプリエをすることです。プリエで前かがみになってしまうと、床を押す力が逃げてしまいます。膝とつま先の向きを揃えることも忘れずに。膝が内側に入ると踏み込みが弱くなります。
跳んだら、すぐにつま先を伸ばす。空中でつま先が緩んでいると、足先まで伸びきった形にならず、見た目にも高さが出にくくなります。
そして、脚の力だけで跳ぼうとしないことも大事です。お腹を引き上げて全身を使う意識を持つと、体全体がすっと上に伸びる感覚が出てきます。「引き上げながら跳ぶ」というイメージを持つだけで、高さの感じ方が変わってきます。
着地で音がする・崩れると感じているなら
着地でどんっと音がするとき、膝が伸びたまま着いてしまっていることが多いです。床に棒が落ちるような着き方になっています。
静かな着地は「着地のプリエ」で作ります。つま先から先に床に触れて、かかとがゆっくり下りるにつれて膝をやわらかく曲げていく。この順番で降りると、衝撃が膝に吸収されてドンという音がしなくなります。
このとき、膝とつま先の向きを一致させておくことが安定の鍵です。足首だけでターンアウト(外開き)を作ろうとすると、着地でぐらつきやすくなります。太ももから自然に向けた状態で降りると、着地の安定感が変わります。
上体を引き上げたまま降りることも大切です。降りる瞬間に上体がふっと前に倒れてしまうと、着地がぐらつきます。お腹の引き上げを空中から着地まで保ち続ける意識が、静かな着地につながります。
なお、着地の衝撃が膝や足首に痛みとして現れたときは、無理をせず休んでください。痛みを感じながら続けることは避けてほしいところです。
グランジュテで脚が開かないと感じているなら
グランジュテ(助走をつけた開脚ジャンプ)がなかなか開かない、という場合、脚を開こうと頑張るより先に確認してほしいことがあります。
それは、上体の引き上げです。
上体をすっと引き上げたまま跳べていると、脚は自然にある程度持ち上がってきます。逆に、脚だけを無理に開こうとすると上体が前に倒れたり、ジャンプ全体の勢いが落ちたりします。
助走のときから引き上げの意識を持っておくことも重要です。グランジュテは助走から跳ぶ瞬間までの流れが一続きです。助走で体が落ち始めてしまうと、空中で引き上げを作るのが難しくなります。
空中では、まず体の中心(お腹まわり)が引き上がって、そこに脚が後からついてくる、という感覚を持つと整理しやすいです。脚から先に開こうとしないのがポイントです。腕の動きも使って滞空時間を稼ぐと、脚がゆっくり開く時間が生まれます。
着地までが一続きです。降りるときは柔らかいプリエで受け止めて、後ろの脚を最後まで落とさないように保つと、跳んだ形が最後まできれいに見えます。
「柔軟性が足りないから開かない」と思いがちですが、引き上げと助走の勢いの使い方次第で、同じ柔軟性でも開き方は変わってきます。まず引き上げと全身の使い方を整えることが、グランジュテの先に続く道です。
レッスンで意識できる入口
ここまで三つのつまづきを分けて見てきました。それぞれに共通していることを、最後にまとめます。
まずプリエを丁寧に使うこと。膝を柔らかく・上半身まっすぐ・膝とつま先を揃える、この三つを意識してプリエをするだけで、跳ぶ力と着地の安定感が変わります。
次に、お腹の引き上げを跳ぶ前から意識すること。ジャンプのときだけ急に引き上げようとするより、跳ぶ前から体をすっと伸ばしておくほうが自然に出来ます。
着地はつま先から静かに。膝をやわらかく使って衝撃を吸収する感覚を、焦らず少しずつつかんでいきましょう。
グランジュテは無理に開こうとするより引き上げを先に。脚より先に体の中心を持ち上げる意識が、開き方を変えていきます。
どれも一度に全部は難しいです。まずプリエの使い方から始めて、少しずつ重ねていくのが長続きするやり方です。
プリエも引き上げも意識しているのに、なぜかうまくいかないとき
プリエを丁寧にして、引き上げを意識して、着地も気をつけている。それでも「なんとなく高さが出ない」「着地がぐらつく」という場合があります。
ジャンプの高さや着地の安定は、部分の意識だけで決まるものではありません。体全体の引き上げ感や、動くときの力みの抜け具合が土台として働いているからです。
頑張ろうとするほど体が固まる、という経験はありませんか。プリエも引き上げも、力んで固まった体の中ではうまく機能しにくくなります。
体全体の使い方・状態が整ったら、ジャンプが軽くなった、着地がふっと安定した、という方がいます。部分を意識するより、全身の軸が整ったときに力みが自然に抜ける。動かす前に整える、という感覚です。
体の使い方についてもう少し知りたい方は、バレエで「肩の力を抜いて」と言われ続ける人へやダンスの体幹は「鍛える」より「使う」もあわせて読んでみてください。
バレエの基礎的な軸の使い方についてはバレエの基礎と体の軸もご覧いただけます。
体の使い方についてもう少し知りたい方へ
ジャンプに限らず、バレエ全体の動きを支える体の使い方についてまとめた記事があります。
「体の使い方が変わったら、レッスンが軽くなった」という声もある内容です。
バレエ全体の上達に関心がある方は、バレエが上手くなる方法もあわせてどうぞ。ポワント(甲)についてはポワントが上手くなる方法もご覧ください。

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