1回転はいけるのに、2回転目で足がついてしまう

プリエを決めて、勢いをつけて回り始める。1回転目はわりといける。でも2回転目に入った瞬間、体がぐらっと横にずれて、着地する羽目になる。
そういう経験がくり返されると、「もっと脚を速く回せばいいのか」「腹筋が足りないのか」という方向で考えたくなります。
でも、実際にダブルターンがうまく決まるようになった方の話を聞くと、速くしようとしたわけでも、体を鍛え直したわけでもないことが多いです。変わったのは「体の状態」だった、という話が出てきます。
この記事では、2回転目で崩れやすいときに体の中で何が起きているのか、骨盤・プレパレーション・目線・パッセの4つの視点から書いていきます。
2回転目で崩れるのは、勢いのせいではないことが多い
「2回転が崩れるのは勢いが足りないから」と思いやすいのですが、勢いを足すと余計に崩れることがあります。
床を強く蹴ろうとするほど上半身が先に動いてしまったり、腕に力が入って体が固まったりする。勢いを増やすほど、力みも同時に増えていくのが問題です。
1回転目はギリギリ体の力みを抑えながら回れていても、2回転目に入る瞬間に「もう1回」という意識が入って体がぐっと固まる。この固まりが崩れを招いていることが多いです。
速さより、軸がまっすぐ保てているかどうか。そこを先に整えるほうが変わりやすくなります。
軸が曲がるのは骨盤と首の2か所
体を「1本の棒」のように保つ、とよく言われます。1回転から2回転にかけてこの棒が途中で曲がってしまうのが、崩れの正体です。
曲がりやすい場所は主に骨盤と首の2か所です。
骨盤が横に倒れると上半身がずれて、回転が続きにくくなります。お腹が自然にまとまっているとき、骨盤が動きにくくなります。首から肩のあたりは、「2回転目まわさなきゃ」という意識が入った瞬間、きゅっと固まりやすくなります。上半身に力みがあると、回転のたびに軸がぐらつきます。
体の上から下まで一本が通っているとき、1回転目も2回転目も同じ感覚で回れます。上と下がバラバラに動いていないか、回転中に確認できると変わりやすいです。
プレパレーションで「ためる」か「固める」かが分かれ道
2回転のプレパレーションに入るとき、1回転のときより「しっかり構えなきゃ」という気持ちが強くなります。その結果、足首や太もも、腕にまで力が入って、固まった状態で回転に入ってしまいます。
固めた体で回ると、立ち上がる瞬間に体の動きが分断されやすくなります。
4番のプリエは「固める」のではなく「ためる」感覚で入るのがポイントです。重心を前脚と後ろ脚に半々においた状態で、膝や足首に弾力が残っているかどうかが目安になります。
今すぐ確認できるワークがあります。プリエの状態から、回転には入らず「ただ1度だけ立ち上がる」動作をやってみてください。そのときに膝がすっと伸びる感覚があるなら「ためる」側に入れています。固まっていると、立ち上がりがぎこちなくなります。
スポッティングは体の軸が安定してから機能する
「顔をもっと速く返して」とアドバイスされることがあります。スポッティングが大事なのは確かですが、顔だけ速く動かそうとしても安定しないことがあります。
スポッティングが機能するのは、体の軸が先に安定しているときです。体がぐらついた状態で顔だけ動かすと、視界はむしろ乱れやすくなります。
軸がまっすぐ保てていると、視線の基点を「置いておく」感覚が出てきます。急いで顔を返そうとしなくても、ふっと戻ってくる感じ、と表現した方がいます。
顔の速さより、体の状態が先。目線についてはピルエットで目が回る原因でも詳しく書いています。
軸足とパッセが、2回転の土台になっている
2回転目に崩れるとき、パッセの状態が変わっていることがよくあります。1回転目は安定して引きつけられていても、2回転目のタイミングで足が落ちてきたり、ぐらついたりする。
パッセでしっかり足を引き上げようとすると、上半身が連動して揺れやすくなります。「足を上げる」より「体の軸が立つ」が先にある、という感覚です。
軸足も同様で、踏ん張ろうとして力を入れると足首や太ももが固まります。足裏から床をじんわり押す感覚のほうが、体の重さが自然に地面に伝わります。
パッセと軸足の関係については、バレエのパッセで軸足に乗る感覚でもまとめています。また、1回転そのものが安定しない方はピルエットが回れないの記事も参考になります。
よくある質問
ダブルターンとピルエットは何が違いますか?
ピルエットはバレエの回転技の総称として使われることもありますが、主にパッセで軸を立てて回るターンを指します。ダブルターンはその2回転バージョンのことを指すことが多いです。チアダンスやジャズダンスでも同様の技があり、軸を保つという体の使い方は共通しています。
床を蹴る勢いを増やしてもダブルターンが決まらないのはなぜですか?
勢いを足すと上半身の力みも増えやすくなります。床を強く蹴ろうとする動作が、肩や首の力みにつながって体が固まりやすくなることがあります。勢いより、軸がまっすぐ保てているかどうかを先に確認してみてください。
1回転はできるのにダブルターンだけ崩れる、という方に特に必要なことは?
1回転と2回転で違うのは「もう1回」という意識が入ることです。この意識が体を固めやすくします。プレパレーションで「固める」のではなく「ためる」感覚で入ることと、骨盤と首の2か所に余分な力が入っていないかを意識してみると変わりやすいです。
体の使い方から変えていきたい方へ
ダブルターンが2回転目で崩れるとき、「もっと強く」「もっと速く」という方向で練習量を増やしても、変わりにくい場合があります。
崩れている原因が力みや軸のブレにあるとしたら、力を足す練習を重ねても解決しにくいからです。
体の状態を整えることから始めると、変わりやすくなることがあります。軸の作り方を、実際に体で確かめる時間です。


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